式年遷宮は伊勢神宮が20年に一度新宮へ遷る祭事です。1300年ほどの歴史を有し、直近では平成25年に執り行われましたのでご記憶の方も少なからず居られると思います。
公式サイトには「20年に一度常に瑞々しいご社殿で、永遠に変わらないお祭りが行われることに大きな意義」があるとされています。なぜ「20年」で節目とするのかと言うと、前回の式年遷宮で駆け出しであった大工が棟梁に成長し、また使用される木材も使用に足る成長を遂げるという、合理的な理由もあります。
私達ACプランも産声を上げて同じく20年ほどの歴史を持ちますが、産声を上げた当時のお客様から時代の節目を感じ移転・改修などのご相談をいただいたり、開業当時は別の方が設計施工されたものを増築・改修する事例が増えています。また従前に開業された歴史ある動物病院が、子世代への継承を見込み、時代に合わせて改修する事例も多くございます。
歴史ある動物病院には固有の病院運営手法/技法があります。
見た目には大胆に改修したとしても、根底には病院運営の歴史を踏まえて計画を積み重ねますので、運営の大切な幹となる部分の継承に、どことなく式年遷宮のような感覚を覚えることがあります。
今回ご紹介するテナント型動物病院は、従前から使用していた区画の隣区画が空き、増床する計画でした。
「大きな診察室 兼 検査処置室」のスタイルから、時代に合わせて犬猫の診察室を独立した個室に分離する計画でしたが、検査処置室の動線から齎される診察室の在り方を注意深く検討した病院計画となりました。
(移転先の受付待合)
また既存院は従前のものに軽微な改修を加え、無駄なコストを掛けずに別用途(トリミングサロン)として使用し続けています。
(改修前)
(改修後)
病院の計画とは別に、法人として関係施設のブランディングがなされサイン計画も改められましたので、まさに見た目には大胆に改修しています。
病院の歴史を振り返りつつ、幹となる部分を大切に継承しつつも隣接地に移転するスタイルに、まさに式年遷宮のような感覚を覚えました。