大きなテナントでの新規開業については前回のコラムで書きましたが、小さなテナントでの新規開業はどの様な動物病院が可能か?またどのように発展させていったか一つの病院の例をご紹介してゆきたいと思います。
過去一番小さなテナントは「あんどう動物病院」で広さ7坪での新規開業でした。自宅の近くで適切な広さや賃貸料の物件検討し御相談されたテナントが7坪でした。依頼を受けて設計するにあたり、まず初めに最低限必要な所要室を決めていきました。
待合、受付、診察室、手術室、WC、、、。まだまだ必要な部屋はありましたが、これらを主として機能を兼用しました。
待合は予約制のため3席、そこに薬局兼用の受付と診察室への入り口が面します。診察室には天井吊りのレントゲンがあり必要に応じてレントゲン室になります。
奥には処置室兼用手術室があり、そこにはICU兼用のケージがあります。レントゲンの現像はWCの一部に手現像の機器を設置しました。最小限の動物病院として(2005年に)開院しました。
狭いことでそれなりの苦労はあったとのことですが順調に診療を続けられ7年後に新たなテナントへの移転拡張の設計を依頼されました。こちらも小さめの11坪のテナントでした。
前回と同様兼用できる部屋は兼用し面積的に分離できる機能は分離しました。待合室は一席増え4席で診察室は前回と同様レントゲン室兼用としました。前回ではWC内に設けた現像スペースはなくなり診察室にCRも設置することにしました。使用しない時には建具で隠せるようにもなっています。
今回は検査処置室と手術室は独立し入院室は1列2段のケージを備えました。収納量を増やすために吊戸棚を二段にするなど工夫もしました。移転後12年が経過しますが動物病院として今も診療を続けられています。
今までの経験上、標準的なテナント開院の広さは20〜30坪程度と考えますが診療のスタイルや獣医師さんの考え方によってこのように驚くほどコンパクトな動物病院も作ることができます。シンプルでコンパクトな動物病院で小さく始めて大きく育つのも新規開業の一つの考え方でないかと考えています。
動物病院の開業スタイルは獣医師さんの数だけあると思っていただいて構いません。理想とする動物病院のイメージや考え方をご相談ください。希望に叶う動物病院を目指して一緒に創って参りましょう。おのずとオンリーワンの機能的で素敵な動物病院ができると信じております。