ここ数年、ACプランに関わる若手スタッフと様々な情報交換をしています。
その会話から新発想に気付かされることが多数あります。私は若手の中では最高齢であることもあり、年齢相応に計画の実績を積んできたつもりでも、まさに’無知の知’があると感じています。
動物病院設計が全ての計画で固有のものであり同じものがない…といった話は他のコラムでも論考しています。そういった意味では、各メンバー/各スタッフが固有に知識を蓄えており、その情報交換から自分の知識が洗練されることも多いです。しかし同じ課題に向き合っているお陰で認識共有が早いのだと思います。
翻って、私達のお客様に対して詳細な説明をする際も同様です。
かつてACプランが設計した動物病院に勤務されていた方のご相談の場合、「勤務先で見た!」などとお答えいただき認識共有が早いこともありますが、これは極めて稀です。初対面のお客様には過去の経験値から様々なアイデアを捻出し、改修工事の場合には更なる改善を提案します。「いま無いもの」を表現することになりますから、その認識共有の難しさは必然でもあります。そして、明瞭と思えたスケッチやCGではなく、言葉一つで解決したときには嬉しくも思います。
その際に重要なのは「難しいもの」をいかに「簡素/明瞭に説明できるか」であろうかと思います。(これは臨床の現場でも同様かと思います。)一度や二度の経験では成し得ない、メタ認知からこそ得られる知識こそが、本質なのでしょう。
「そんなの常識だよ」と言わず「それもあるよね」と答えられる、「常識」の振れ幅の多い設計組織が、私達ACプランの良さであり積み重ねてきた歴史なのだろうと考えています。
以上。雨降る現場でお客様やスタッフに現場の状況を説明しつつ、ふと思ったことを徒然と書きました。