動物病院設計の中で、空間デザインのイメージが上手く共有できないことがあります。
もちろん、クライアントがそういった思考に不慣れで空間認識が難しいのは当然ですし、設計者つまりは専門家としての言語力・表現力の問題があるのかも知れません。
そこで私は「こればかりは世の常だ」とクライアントに予めカミングアウトして、いろいろな方法で解説するようにしています。
例えば、色彩や素材感であれば双方の共通事項(趣味など)で例えて補えますし、動物病院での設計打合ならば目前にあるものを基準に話すこともできます。
しかし常に悩ましいのは「前例がないもの」の伝え方です。個人的には受付カウンターがその代表格のように思います。
設計者としては、受付待合を(それが仮にシンプルなデザインであったとしても)「病院の顔」となるように配慮をします。
しかし(仮に標準装備として)【荷物台】【カウンター】【作業机】の3要素について各々の高さと奥行の要素があると、数値的には理解できてもデザインが想像しにくいという声を伺います。
そういった際にPCなりタブレット・スマホからCGを持ち出して説明すると、言葉以上に明瞭に伝わります。
必ずしも表現力の高いCGである必要はなく、即興で微調整できると更に打合が円滑に進みます。
実はこの状況は、米国の心理学者アルバート・メラビアンにより論証されています。
彼は対人コミュニケーションによる情報について、【言語情報:7%】【聴覚情報:38%】【視覚情報:55%】という割合で影響を与えていることを示しています。
やはり視覚情報は圧倒的なのだと痛感する一幕です。