動物病院に適したエアコンは?
ACプランでは基本的にシングル(セパレート)と言われるエアコン設備を計画しています。これは一般的な住宅用のエアコンで室内機1台に対し室外機1台の設置が必要になります。
動物病院のエアコンは飛散した動物の毛や埃などによってエアコンやエアコンの排水配管の詰まりが一般的な建築に比べて起こりやすく定期的なメンテナンスがより多く必要になります。
そのため故障しやすい動物病院のエアコンはその製品寿命も短くその部分だけ室内機と室外機を入れ替える必要が出てきます。この時にシングルではなく室内機複数台に対し室外機1台で稼働しているマルチという方式のエアコンの場合は同一機種が生産されなくなった場合、全体を交換する必要に迫られ多額の交換費用が必要になります。
そのためできる限りシングルのエアコンで計画することをお勧めしています。ただ、欠点もあります。シングルのエアコンを設置する事で室外機の数がその台数分必要になるためそれなりの室外機の設置場所が必要になります。敷地に余裕がない時には冷媒配管の長さが許せば屋上などへの設置が近隣関係も含め理想的です。設置場所が限られている場合はラックに効率よく設置します。
計画によっては抜毛の飛散の少ない部屋はマルチエアコンとして、入院室やトリミング室や待合、診察室など動物の抜毛の飛散などが多い場所はシングル、あるいは同一空間で使用するマルチエアコンを計画することを考えましょう。
新規開業はシングルエアコンで計画する事が建設コストを抑えた計画になる事になります。また、住宅用エアコンもクリーン機能など構造が複雑になるとクリーニング料金が割り増しになる事がある様で、そのため現在のところは廉価品の構造のシンプルなエアコンが動物病院に最適と考えられることになります。
大きな動物病院には新築の際、マルチエアコンで計画されている事が多くあります。一般の建築物は規模が大きくなりますと200Vの動力電源でマルチエアコンを設置し、電灯電源容量に余裕をもたせ電力を有効に使用する事が設備計画上、良い設計になるのですが、電灯がLED化によって電灯電源の容量に余裕が出てきた現在、動物病院においてはメンテナンスや取り替えに融通性の高い一般の住宅用シングルエアコンで計画するのが長期を見据えたエアコン設備設計になると考えています。