コラム&ブログ

このコラムでは親族の事業承継、代替わりで病院を継いでゆく過程で使いやすく過ごしやすい快適な動物病院にしてゆくための改修例を挙げてまいります。

🔳池沢動物病院　兵庫県　過半の改修　(改修面積合計338.22㎡)

・改修後の受付

・改修前の受付

計画は兵庫県加古川市にあるこの病院は先代の院長が鉄筋コンクリート4階建ての1〜2階部分の動物病院機能とトリミング室として建てられた動物病院のリニューアルです。当初は全フロアのリニューアルも提案いたしましたが、最終的には1〜2階部分リニューアルになりました。幸い4階は以前は住居として使われ今は宿泊室として使用されており、3階は休憩用個室もあるスタッフルームや会議セミナー室とて使用されていましたので、工事中は仮設の動物病院機能を3階階に作って頂き、1〜2階の工事を工区分けをほとんどせず一工程で診療しながら完了する事ができました。

・陽圧クリーンエアコンの手術室

1階外来診察は1階に4診察室を持ち検査処置室や各入院室、既存CT室からなりおり、2階には陽圧クリーンエアコンを持つ手術室とトリミングが主な機能となっている。

🔳さくま動物医療センター　熊本県　二期工事にわたる全面改修　(改修面積合計341.19m2  )

・待合ラウンジ　奥は二階にあるトリミング用カウンター

熊本県熊本市で改修工事を行なった、さくま動物医療センターは先代の御夫婦で開設され鉄筋コンクリートの住居兼動物病院として建てられました。完成時は1階が動物病院やトリミングで2階〜3階が住居として建てられました。初めての依頼が来ましたのは原院長が大学から戻られるタイミングで診察室を増やして2階半分までを病院の機能とトリミング室として拡張し、住居部分を二世代の住居として改修しました。

・CT室の付属する手術室

それも時間が経ちますと手狭になり、2階には手術準備を備えCTのある手術室や入院室を充実し3階はセミナーも開催できるような大きめのスタッフルームと院長室、副院長室兼用応接室としました。

・スタッフ室兼用セミナールーム

🔳千代野どうぶつ病院　石川県　隣地移転の新築　(新築面積197.00m2)

・外観　　「ブリッティシュパブのイメージで！」とのご要望

石川県白山市に建替られた千代野動物病院は御子息が地元に戻ってこられてから建て替えの計画がスターとしました。用途地域規制がかかるか営業されていた既得権により建築審査会を経て建替られた時間を必要とした新築の承継物件でした。

吹き抜けた待合ラウンジは２階トリミングやセミナールームに上がって行ける。

新しい病院では多くのご要望があったので、待合を吹き抜けとし、上下階の各室にアクセスできる様なホール的な待合ラウンジにしました。一階は一般的な診察室、処置室、各入院室、検査処置室、腹腔鏡手術室他などですが、2階階は吹抜けに面するガラス張りの通路から内部が見えるようになっています。

・セミナールーム兼用ミーティングルーム

セミナーに使える大きめのミーティング室や院長室、スタッフルーム等も備えており、院長室とミーティング室は間仕切り建具の上にキャットウォークを設置し猫は自由に行き来できる遊びの空間が備わっています。

・吹き抜けた待合ラウンジの受付とエントランスを見る

事業承継後の改修工事はその後の長い時間の診療体制に大きく影響してまいりますので継承後、急いで建築、内装などのハード面に手を加えるのではなく、現在の使い勝手からから将来にかけての病院の展望を検討しながら進めてゆく事が肝要と考えます。また、継承後はどれだけ来者数の見込があるかを想定して、また、病院内の動線等を検討いただき、どのような空間やデザインの動物病院にするか、十分に検討の上、改修を急ぐ必要な予算がない場合は無理せず様子を見てから改修の方向性や規模を決めて改修計画を進めましょう。

事業承継による改修工事あるいは建替工事を計画する場合は、改修目的(Ｐ:パーパス)、改修範囲(Ａ:エリア)、予算コントロール(Ｃ:コストコントロール)、改修時期(Ｔ:タイミング)、が重要な要素となります。それらを一つ一つを、あるいはそれぞれの関係を調整しながら十分な検討の上、改修計画を進めてまいりましょう。