動物病院のイメージを表現するためには、「外観のイメージ」や「待合のイメージ」のどこに重きを置いて計画しデザインするかという点が重要です。外観の色や形で人目を引くようにデザインにすると建物やファサード(テナントの正面)そのものが病院のイメージとなり、それだけで広告になります。
また外観がガラスなどの透明性の高い素材で仕上げ待合ラウンジが道路から良く見える場合、受付を含めた待合のデザインがガラスを通して病院の雰囲気を映し込むことになります。そのため待合の中が見える場合は待合のデザインそのものが病院のイメージになります。この場合、「待合空間」は地域社会と「診療空間」とを結ぶ緩衝帯として機能します。内部でどのような様子なのかが判りやすくなるため初めて訪れる人にも安心感が生まれます。
病院の「顔」であるデザインをどのように創り上げてゆくかは、病院の立地によっても異なります。車や人の交通量の多い立地では内部の落ち着きを考慮して、ルーバーやブラインドやスクリーンなどの干渉物を設け少し視線をさえぎる工夫も必要です。ルーバーの間から部分的に「なんとなく見える、うっすら見える」ように視線の角度や面積を調整するための干渉物を配置することで待合に落ち着きを与えます。
複数の道路に面する一戸建ての場合、交通量の多い道路に面する病院のファサードとエントランスを持った入りやすいアプローチを分けるのも一つの考え方です。このように透明性とプライバシーのバランスを図り病院のイメージである「病院の顔」をどこで創り出すかということを全体構成や立地条件に合わせて計画してゆきましょう。