20年近く、殆どTVに触れず必要な情報はPCやスマホから仕入れる生活でしたが、最近この「VoD」という言葉や対応機器を知って、私の生活が一変しました。
VoD(ビデオ・オン・デマンド )とは、ペイ・パー・ビューやサブスクを介して、様々な映像コンテンツを自由なタイミングで視聴することができるサービスです。
「サブスク」はAppleなどの音楽配信サービスで知られていますが、動画コンテンツとなるとAmazon Prime Video/Netflix/Hulu/Disney+/U-NEXTなど各社のサービスがあり、そのサービス量/情報量の広さに驚いています。
また仮にリアルタイムで観るとしても、先日のサッカーW杯でも話題となったように、視聴者は地デジで見るか/AbemaTVで見るか、といった選択肢も選べるようになりました。
PC/スマホ/インターネットが普及して情報収集のあり方が変わりましたが、今やその収集のタイミングも変わったようです。
ここで気をつけなければいけないのは、こういった情報には「ディープラーニング(深層学習)」が潜んでいることです。
「ディープラーニング」とは、機械的システム的にが大量のデータをAI学習して特徴的なデータを見つけ出す技術方法です。
YouTubeを何となく見ていると、類似コンテンツを推奨されることがありますが、これがその手法の一例です。
視聴者の偏向/志向を学ぶ点では便利ですが、平たい情報を仕入れたくとも、無意識のうちに情報が偏ってしまうことが懸念されます。
例えば、先に例えで挙げたW杯も、対象は同じでありながらも、AbemaTVで本田圭佑の解説を聴いた人と地デジで観た人では、翌日の会話の内容が異なっていた印象でした。
と長々と動物病院設計とは無縁の話をしているかのようですが、このVoDに設計者としてのインスピレーションを感じていました。
実は、私は動物病院設計をする上で、これまでのキャリアと勤務した施設の好き/嫌いについて、相応の時間を割いて伺うようにしています。それは、依頼主がご経験の中で培った価値観を、最短距離で抽出するために必要な質問と考えるからです。
私はそれを偏向とは思いません。対話の中で対立軸にあった価値観が正解になることも、他者が選ばない選択肢が正解になることも、起こり得るからです。
動物病院設計を含む広義の建築設計には、確かに「セオリー」はあります。しかし多様性のある深い沼の中に、輝かしい個別の答えがあるように思います。