動物病院の設計に携わって20年が過ぎ、空気がゆっくりと流れる待合ラウンジを提案し構想し続けて来ましたが、2020年のコロナ禍以降は風が流れる待合ラウンジへの要望は高まる傾向です。
元来、動物病院待合ラウンジの空気は穏やかに流れ、待合ラウンジ内に居ても肌に感じない程度のゆっくりとした空気の流れをつくっていました。待合ラウンジの空気が20分程度で入れ代わる様、汚れた室内空気を外部に排出し、新鮮な外気を待合ラウンジ内に給気する緩やかな風の道をつくっていましたが、コロナ禍以降は、より強力な空気の循環を要望する先生方も多くなっています。
室内換気に気を配る社会傾向自体は、建築を設計する立場にいる者としては良い方向と思いますが、室内の温熱環境を維持し調湿を図りながら室内換気を実現するのは容易ではありません。単に換気扇の排気量を高くする程度の安易な提案ではうまく事は運びません。換気設備機器コストと冷暖房設備機器コストを踏まえ、風の流れを想定し、工事費用と費用効果の適正なバランスを調整するには経験を要します。
何事にもトライアンドエラーはつきもので、試行錯誤の上に、適正な環境が見えてくるものです。